キングダム

キングダムの作者・原先生が熱く語る「戦国七雄の作り方」

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

アニメと漫画連載の再開が待ち遠しいところですが、もう少しの我慢ですよ。

-特別講義- 「戦国七雄の作り方」で新章「キングダム」も楽しもう!

特集第2弾は、特別講義「戦国七雄の作り方」

現在休載中のキングダム。

特別企画の第2弾は、特別講義「戦国七雄」を講師に作者の原泰久先生をお迎えして、ヤンジャン誌面にて行われました。

この講義の目的は

・秦国をはじめとした「戦国七雄」について理解を深めてもらうため
・「キングダム」をもっと深堀したい方や史実との関連性を知りたい方へむけて
・資料を元にした漫画作りに興味がある方の参考にしてもらいたい

そして講義後にキングダム本編を復習すると、キングダムが何倍も楽しめるという講義です。

そして新章からいよいよ中華統一へ向けて、物語は加速していくと思われます。

中華統一が進むということは、今ある六国、楚・趙・魏・燕・斉・韓が滅んでいくということ。

つまり休載明けの「キングダム」は今までよりもなお、「戦国七雄」一国一国にクローズアップした内容となるでしょう。

新章をより楽しむためにも、今回の特別講義は見逃せません!

この講義の中で明かされている「戦国七雄」を構築していった秘話や、これからのキングダムを楽しむための視点や見方をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

今だからこそ語られた、キングダム流「戦国七雄の作り方」

兵器を操るお国柄、魏国

魏国を描く上で難しいのは武将の名前がほとんど残ってないところです。この時代の魏は本当に廉頗が趙国から亡命してきたくらいしか記録がありません。唯一といっていい有名人は春申君とともに戦国四君と謳われた信陵君ぐらい・・・(戦国七国の作り方より)

と原先生が記しているとおり、蛇甘平原で麃公将軍と戦った呉慶もオリジナルキャラでした。

また呉慶将軍の持つ負の雰囲気が、その後の魏国の描き方にも無意識に影響を与えていたというとおり魏のキャラクターには暗いイメージがあります。

例を挙げると

・呉慶自身、祖国を滅ぼされ、名を変え顔に墨を入れ別人となり放浪の末、魏国に流れ着く。
・呉慶もその一人だった、魏火龍七師も内紛で同士討ち。
・呉慶を討たれた息子の呉鳳明も、恩師・霊凰を裏切る
・亡命してきた廉頗も、再び魏国を亡命

魏火龍七師・・・コワイ・・・

と暗い話題しかありません。

また戦い方も蛇甘平原で呉慶がみせた装甲戦車隊の流れを受けて、息子の呉鳳明は合従軍戦で井闌車や床弩車という大掛かりな兵器を発明しています。

つまり、魏国の作り方の特徴としては

①魏国は最初に登場した将軍・呉慶の影響が大きくその後に影響している。
②資料の少なさから、続く息子の呉鳳明も魏火龍七師もすべてオリジナルキャラで、設定の自由度が非常に高い国になっている。

が挙げられます。

特に②の自由度の高さを現すエピソードとして、呉鳳明が信に迫られ殺されそうになるシーンで、師匠の霊凰を身代わりとして差し出し裏切るシーンがあります。

呉鳳明はけっこうイヤな奴です

この結末は前もって考えていたわけではなく、いざこの場面になって呉鳳明はまだ死ぬところじゃないなっと思い出てきた展開です。(「戦国七雄の作り方」より)

これにはキングダムファンたちもびっくりではないでしょうか?

魏国の最重要キャラである呉鳳明は、ギリギリ生かされてたのですね。

確かに魏火龍七師の凱孟と霊凰がいれば魏国としてはなんとかなりそうですが、新旧交代を意識したイベントだったので呉鳳明を生かしたとのことでした。

自由度の高い国だからこそ、できたエピソードですね。

華やかなるタレント軍団、趙国

原先生が趙国を漫画に落とし込むに際して、次のように書かれています。

・趙国は「史記」の中に多くの記述が残されていて、すごくイメージの膨らむ国であると同時に、首都・邯鄲は春秋戦国時代から栄えていた華やかな大都会です。
・趙国は史実に残されている魅力的な武将がたくさんいます。
・李牧みたいな軍神がいるにも関わらず王様が酷い・・・アンバランスさも趙国の魅力だったりしますね。
・北方民族・匈奴と戦い続けてきた結果、他の国より早く「騎馬隊」という強い戦力を手に入れます。(「戦国七雄の作り方」を参考に抜粋)

すごい悪人顔や・・・

これらから趙国の作り方は

登場人物や都市について、とにかく華やかな国に描いた。
②秦国と同じく魅力的な武将が多くいる反面、王を悪人に描くことで嬴政との差を際立たせた。
③馬上で戦う北方民族の習慣・「胡服騎射」を早くから導入した史実を活かし、王騎を討ち取ることができた理由にすることで「強い騎馬隊」を強調した。

②の魅力的な武将たちについては、李牧・龐煖・藺相如と個別に語られていますので、もう少し詳しくご紹介します。

趙国の魅力的なキャラクターの作り方

李牧の場合

 

李牧の登場に関して、作者はこのように記しています。

「「史記」では「列伝」に章立てされてはいませんが、年表に出てくる戦歴と記されている逸話は凄まじいです。内容も一撃で惚れ込み、連載前に読切で描いてしまうほどでした。」(「戦国七雄の作り方」より)

この読切「李牧」は、趙国を舞台に李牧とカイネの出会いが描かれ、「キングダム」連載につながったといわれている作品です。

作者が主人公的要素を備えていると評している李牧は、「史記」などの資料から得た印象をそのまま表現したようなキャラクターで、李牧と始皇帝ありきで物語が肉付けされていった印象があります。

作者が最初に惚れ込んだ、思い入れの最も強いキャラクターが李牧といえそうです。

龐煖の場合

「趙国の将の将といえば、もうひとりの三大天・龐煖の話をしなくてはなりません。意外に思われるのですが、龐煖は史実の人物です。もちろん「我、武神也」は創作ですが。」(「戦国七雄の作り方」より)

当サイトでも以前、龐煖が実在していたことは紹介いたしました。

【キングダム】龐煖(ほうけん)vs信どうなる?誰に殺された?龐煖は実在する?

史実の記録では彼は道家の思想家であり、兵を操ることに長け雄弁に語る縦横家でもありながら、燕国の大将軍・劇辛を討つ、文武に優れた才能溢れる人物だったようです。

このスーパーマンを「キングダム」に落とし込むときのエピソードを、原先生はこう語っています

「趙には他にも李牧や廉頗をはじめ名のある武将が揃っているので、少し強さのベクトルを変えて描こうかなと考えたんです。それで当時の担当さんと話して、一回手の届かないようなところまでキャラを遠くに投げてみよう、ということで挑戦したのが龐煖でした。」(「戦国七雄の作り方」より)

なるほど・・・すでに文武に優れた武将が複数いたので、圧倒的な個性を持った異質なキャラを実験的に放り込んだ、というのが龐煖誕生の真相だったんですね。

しかもその後、

「最初登場した時は殺戮を繰り返すだけの奇天烈なキャラで、正直どう動かしていけばよいのか手に余るところもありました。」(「戦国七雄の作り方」より)

と、実験的に登場させたので作者も困惑していた時期が、この頃だったいうのです。

たしかにこの頃は”無機質な殺戮マシーン”でした

つづいて

「そんな中、ヒントを与えてくれたのは羌瘣でした。(中略) 龐煖を「求道者」と評しているんですよね。(中略) ああ、きっと龐煖も彼なりに目指す場所があって動いているんだろうなと。」(「戦国七雄の作り方」より)

この感覚、すごくないですか!

羌瘣の言葉が龐煖に命を吹き込むきっかけとなったようです

原先生が作っている作品なのに、自身が登場させたキャラクターに導かれるようにストーリーが開けていく様子が語られています。

もちろん、以前に作者が神仙思想を題材にした作品を作るために、相当勉強なさっていたことがきっかけとなったのでしょうが、素直に「すごい」と感じました。

次に龐煖が登場するのは、合従軍戦の最終盤・蕞へ向かう途中での麃公との一騎打ちでした。

この名場面のことも作者は語っています。

「龐煖の登場シーンを見開きで、とにかく恐ろしく描いたんです。その時、パーッと黒い粒を飛ばしながら圧倒的な存在感のある強い絵を描けた感触があって、「ああこれは、麃公死んだ」・・・(中略) そこでなぜか彼を好きになりましたね。「武の化身」という存在を初めて絵に落としんだ気がしました。」(「戦国七雄の作り方」より)

原先生が初めて絵に落とし込めたと語る「武の化身」

前回はただ殺戮を繰り返すだけのキャラだった龐煖にも、目指す場所があって動いているという人としての魂を吹き込むことができたから、作者は満足のいく絵を描けたということなのでしょうか。

こうしてキャラ誕生のエピソードを聞くと、登場するキャラクターもそれを描く作者も一緒に成長していくんだ、と改めて感じさせられます。

龐煖は優秀な武将が多くいる中、異質なキャラとして冒険的に登場しましたが、結果として作者の潜在的な意識と結びつき、前半の「キングダム」に欠かせないキャラへと成長しました。

藺相如の場合

 

もうすでに故人となっているのに、作中のキャラに大きな影響を与えたのが、かつての三大天・藺相如でした。

武の人ではないにも関わらず、全盛期バリバリの王騎達に気後れしないキャラというのは絵としてかなりハードルが高かったのですが、しっかり超えていたと思います。」(「戦国七雄の作り方」より)

王騎にも全く引けをとらない存在感でした

藺相如が尭雲を通して信に伝えた言葉というのは、まさに戦国の大乱の中心にいた偉人からのメッセージであり、今後の展開でも度々思い出されるかもしれません。」(「戦国七雄の作り方」より)

「キングダム」の世界の前のスーパースターだった藺相如の言葉を、かつての部下を登場させることで紹介し、中華統一の意義を秦国の主人公・信に引き継がせました。

まさに偉人からのメッセージ

アンタッチャブルな存在、韓国

「恐らく立地的にアンタッチャブルな存在だったと思います。」(「戦国七雄の作り方」より)

と原先生がいうように、史実上の韓という国は他国が本気になればいつでも滅ぼせるほど弱い。

しかし滅ぼせば秦国の進出を容易にしてしまう、といった具合に絶妙なバランスを保っていた国です。

「キングダム」では最弱国ならではの特徴が描かれていて、

①合従軍戦では正攻法ではない戦い方として、「毒」を使うことで特殊性を際立たせている
②総大将・成恢も、最弱国らしい小物感ただよう最期を迎えている

韓国のイメージも成恢を通して伝わってきます

他国の思惑と切り離せないバランスの中で存在してきた韓国なので、秦国が本格的に中華統一を進めだしたことにより、戦国七雄では最初に滅亡する運命の国です。

そのせいか今のところ成恢以外、目立ったキャラは登場していません。

あえて触れなかった真打、楚国

「楚国は中華の南半分に広がる大国でインパクトがあり、明らかに秦国の強敵になるだろうなと。あえてまだあまり触れていないところはあります。(中略)  楚国もこれだけ大きな国のわりに、史実に残っている武将はあまり多くないんです。」(「戦国七雄の作り方」より)

「キングダム」では合従軍戦ぐらいから、楚国の武将が描かれ始めました。

項翼と白麗は若き将で、これから信たちのライバルとして活躍が予想されますが、合従軍戦で登場した3将、汗明・媧燐・臨武君は大国である楚国のイメージに沿った巨人たちでした。

楚国とその武将たちの作り方の特徴は、

①楚が大国なので、そのイメージ通りのキャラを意識した
②史実上にあまり登場しないので、比較的自由度が高く架空のキャラが活躍しやすい
③登場後、作者の思惑以上にキャラが成長し活躍する、

③は楚将には顕著に現われている特長のようで、

「臨武君の立ち位置がグングン上がり、とうとう楚軍の三将のひとりにまでなってしまいました。最初からそうとわかっていたら、あんなふざけた髪型にはしていなかったのですが。」
「汗明も最初からそこまでおかしなキャラになるとは思っていませんでした。 (中略) ところが、いざ蒙武と戦い始めたらどんどんキャラが開花していってしまいました。」(「戦国七雄の作り方」より)

この成長の結果、蒙武と汗明の一騎打ちは、「キングダム」史上に残る名勝負になりましたね。

この戦い、私も大好きです

そして現在宰相となった媧燐ですが、バミュウも含めてどうしてあんなキャラが登場したのか不思議だったんですが、ちゃんと答えてくれていました。

「楚軍のキャラを並べていく中で、なんとなくバランス的に大柄な女性というのが、必然的に思い浮かびました。 (中略) このバミュウとのコンビというのは、自分の中でザワッとした感覚がありました。描いている時のノリというか楽しい感じが、キャラは違いますが、かつての王騎と騰に重なったんですよね。この二人のコントは永遠に描けます。」(「戦国七雄の作り方」より)

なるほど・・・キャラ作りって奥が深いですね。

なんとなく思い浮かぶキャラが、かつて自らが描いたキャラとリンクしたりして・・・やっぱり作者しか分からない感覚の中で創られていくんですね。

なによりキャラ創りを楽しんでいる様子が伝わってきます!

この頃のエピソード、もっと描いて欲しかった・・・

そして媧燐については最後にこのようなことも仰っていました。

「個人的にすごく愛着のある人物なので、大国・楚をどのように引っ張っていくのか楽しみですし、彼女のバックボーンももっと深堀りしたいなと思っています。(「戦国七雄の作り方」より)

媧燐の過去については、ほんの少しだけ同じく宰相の李園が語っていました。
いまから楽しみです!

媧燐の過去、楽しみです

少なすぎる情報、ゼロからの構築、燕国

「 この時代は「史記」の中でも、本当に記述が少ない国なんです。 (中略) ですので、ゼロから特徴付けていく必要がありました」(「戦国七雄の作り方」より)

どうやら燕国は作者の知識量が基になっての推測と、想像力によって主に構築されたようです。

①中華の中央から離れた辺境の地をイメージさせる、山岳民族との関わりを特徴とした。
②匈奴と戦う趙国とは逆に、山岳民族と友好的な国とした
③合従軍戦総大将・オルドは中華と異なる血が入った洋風なビジュアル

秦国からすれば昭王の時代、大出世し宰相となった蔡沢が燕国の出身で、後に祖国でも宰相となった史実もあり比較的友好な関係だったようです。

余談ですが、③について原先生は「オルドはあるハリウッド俳優をモチーフにした」とあり、その名前を明かしていないのですが、私なりに推測しまして・・・

とにかく眉毛が特徴的!なかなかこんなつり目の人はいないでしょうし、髭は威厳を持たせるために付けたと予想し、あまり考慮しないとして・・・

引用:allcinemaよりhttps://www.allcinema.net/person/8029

シルベスタ・スタローンさんでどうでしょう?
原先生のお気に入り映画が「ランボー」であることも理由ですが、わたし的にはこっちもありかも・・・

引用:cinema cafe.net https://www.cinemacafe.net/article/2018/07/11/57509.html

ジョージ・クルーニーさん。
随分やさしい顔ですが、眉毛という点ではかなり近いと自負しております。

かつて最も中華統一に近づいた国、斉国

斉は現在「キングダム」が描かれている時代よりも4~50年ほど前に隆盛を極めており、当時は西の秦、東の斉で東西の王は共に「西帝」・「東帝」を名乗っていたほどでした。

しかし作中にもあった燕国の軍神・楽毅が率いる合従軍により、滅亡寸前まで追い込まれます。

その後田単という知将により危機を乗り越えますが、中華全土の争いに参加できるほど国力が回復しませんでした。

また、「キングダム」作中の合従軍についても

「李牧率いる合従軍を途中で降りることになっていますが、史実では最初から参加していないんです。何故かはわかりませんが。ただ合従軍が反転して斉国を攻めた事実は残っている。不参加の理由は記されていないけど、きっとなにか考えがあったんだろうなと考え、『元々参戦するはずが、離脱した。』という展開になりました。つまりは、斉国は外交に対して特殊な手法を取る国ということに・・・(以下略)」(「戦国七雄の作り方」より)

あんがい真実はこんな感じだったのかも・・・

原先生って研究熱心さもすごいと思いますが、そこからの推測・想像力がホントにすごい!

結局この特殊は判断を下す王を、やや風変わりなキャラとして登場させたのです。

最初はただの変人と思ってました

「ただ単なる変人ではありません。 (中略) 実は結構な苦労人なんです。 (中略) 実力者の母から生まれ、なかなか大変な思いをして王になった人物なので、実は嬴政並みにまともな人格だし、頭も相当キレるのだろうと思っています。なので蔡沢や嬴政を相手にしても、かなり先進的な考えで国の振る舞いを決めていくんですね。」(「戦国七雄の作り方」より)

生まれ育った環境や生い立ちを調べ、その後の歴史を参考にしながら人格や能力を推測していき、キャラクターとして他の登場人物との接触でおこる化学反応まで考えながら物語りに落とし込んでいく・・・すごすぎる。

新章「キングダム」を楽しむための注目点

まもなく連載が再開されるマンガ「キングダム」ですが、今回の特集では今後のストーリーにも影響してきそうなコトも述べられていましたので、触れておきたいと思います。

これからが本領発揮!李牧の存在

秦趙大戦に破れ、現在牢屋の中にいる李牧。

しかし原先生は今回、このように述べています。

「またネタバレになってしまうので詳しくは話せませんが、彼の人生というのは非常にドラマティックなんですね。この明らかに主人公要素を備えた人物が敵の大将として登場すれば、当然展開もドラマティックに流れるだろうなと考え・・・(以下略)(「戦国七雄の作り方」より)

史実でもこれから燦然と輝く李牧だけに、今後の活躍がどのように「キングダム」流で描かれるのが、本当に楽しみです。

史実では桓騎を破っている李牧 これから楽しみ^^

すごい奴がまだまだ登場!天才・韓非

戦力では劣る韓ですが、頭脳面では逸材がでています。法の番人・李斯が唯一認める天才・韓非という法家は歴史的にも有名です。」(「戦国七雄の作り方」より)

「キングダム」作中で登場するのかどうか、なんとなく微妙な表現ですね・・・

李斯と韓非は荀子に師事した同門の間柄なので、お互いその才能を理解していると思われます。

史実では韓非を登用しようとした嬴政に讒言を吹き込み投獄させ、毒を渡し有無を言わせず自殺させたとなっているので、漫画で描かれている李斯とはちょっとギャップがありますね。

元呂不韋陣営だけに、ダークなイメージも少し残っていますが・・・

ただ妬みや嫉妬を人間らしく描かれても、新しい「キングダム」の一面として面白いと思います。

怪物・項燕登場!

 

さてさて楚国には強烈なボスキャラがまだ控えています。

「春申君は失ってしまいましたが、まだ楚には名前でした登場していない史実上の国内超重要人物もいるので、この国にはぜひ注目して欲しいですね。(「戦国七雄の作り方」より)

さらに以前、今後新たに登場するキャラクターの構想などは?、という問いに対する原先生の答えが

いま考えている中では、楚の大将軍・項燕ですかね。廉頗級の、ものすごいのが出てくると思います。」(原泰久ロングインタビュー 2012年6月29日収録より)

いよいよ項燕の登場ですね。

龐煖亡き後、新たな「武の象徴」として期待してしまいますが、宰相・媧燐や亡命している廉頗との関わりも気になるところです。

合従軍敗退の際、廉頗と項燕の出陣を模索する楚王   あの廉頗が「出し惜しみ」というほどの大物です

斉王・王建は中華統一のキーパーソン

 

史実では斉国は、秦国に買収されていた宰相・后勝の言葉に従い、王建が無抵抗のまま降伏したとありますが、今回語られた王建の設定からするとそのような結末にはならないようです。

「王建の決断で、斉は唯一嬴政の思想に動向している国となっています。秦趙連合軍戦でも大きな役割を果たしてくれましたが、秦と斉の今後の関係にも注目です。(「戦国七雄の作り方」より)

蔡沢がセッティングした嬴政・王建会談の時もそうでしたが、秦趙大戦で鄴に届けられた食糧からもわかるように、「キングダム」の作中では秦国と斉国ははっきりとした同盟関係にあるといってもいいでしょう。

ええ話や・・・

王建という賢人は、自らの意志で中華統一の瞬間を選んでくれる展開になるのではないでしょうか。

まとめ

漫画の作者はネット上ではよく“神”などと称され、あたかも作品上の全てを思いのままに創ることが出来る印象があります。

ある意味間違っていないとは思いますが、今回の講義で原先生の漫画の作り方を拝見させていただくと、随分違った印象を持ちました。

作者自らが予期しなかったことや、思っても見なかった方向へキャラクターが成長したり、設定が創られていったりすることに驚きました。

あたかもなにかに導かれるように創られていくストーリーを、作者・原先生が第三者的な視点で語っている、今回の特集は大変面白かったです。

そして何よりご自身で創られたキャラクターを愛し、楽しんでいらっしゃることが伝わってきました。

今回の特別講義を受講して、皆様!、いよいよマンガ「キングダム」の新章スタートですよ!

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